ワタナベ食品

旭カレールウ
おかげさまで七十周年 直火焙煎でじっくり焼きあげる伝統の味

どうしてカレールウだったのか?
最初は「伊豆万(いずまん)」という蕎麦屋でした。もっとルーツを遡ると麺加工所。祖父が戦後復興中、配給品の小麦をうどんに加工して販売していたんです。それを元に1947年に麺加工所を開き、それから5年後に蕎麦屋を始めました。
当時もカレーライスやカレーうどんはあったので、各蕎麦屋は営業が終わったあとに翌日のカレーの仕込みをしていました。その仕込み方がルウだったんです。カレーにうどん粉と油を混ぜて固めるというものですね。そうして営業していく内、いつからか同業者からカレーを分けてくれという声が出てきました。知らない所で「伊豆万のカレーはうまい」と評判になっていたんです。そこで祖父が「ほう、これはもしかしたらいけるかもしれない」と思って小さな釜を購入して、伊豆万の横で「旭食品研究所」としてルウを作る研究を始めました。そして1964年オリンピックの年に二足の草鞋だったのをカレールウ製造一本に絞ったんです。

私で3代目ですけれど、祖父がつくった元祖「旭カレールウ」は当時とほぼ同じ配合・方法で作っています。変な話、釜まで同じ。一日の流れは午前中が仕込み、出来たものを翌日にかけて冷却乾燥とフレーク加工。その後パック詰めと出荷です。私とパートさん、母の3人でやっています。実は工房に釜は4つあるんですよ。しかし全部火をつけてしまうと私が見きれないので、使っているのは2つだけなんです。
3つのカレールウと3代目開発の「孫」の秘話
初代が作った元祖「旭カレールウ」。これはもう創業から作っているカレーなので、昔懐かしい蕎麦屋のカレーです。特長をいうと他の2つに比べるとちょっと固めです。こう、ルウがご飯にのっている様なカレーになります。やっぱり当時は蕎麦屋。出前など5分、10分たってお客様が食べる時でも、ご飯がルウで水っぽくならない様になっているんです。

 2代目の父が開発したのが「セレクト」という商品。元祖に比べるとかなりこだわっています。父はワンランク上の商品だ、と言っていました。元祖旭カレールウはラードを使っていますが、こっちはほぼ植物性油脂です。油を変えているので味のニュアンスが大分違います。加えて香りを豊かにする為に生ニンニクや生ショウガを入れたり、酸味を出す為にトマトの配合も多くしたりしています。パッケージも父の大学同期であるデザイナーの方にしてもらっているんです。実はこの方、超有名商品のパッケージも担当していた方なんですよ。

 そして「孫」。目指したのは口に入れた時に甘さがきて、次に酸味がくる味。えっこれ甘口なの?と思ってふた口目を口に入れるとスパイスがフワッと効いてくる。「孫」ではそれをスパイスではなく、トマトの酸味とフルーツの甘味で醸しています。
作ったきっかけは販売会(※)で感じていた、「元祖」も「セレクト」も年配受けはよいけど20代から40代のリピーターが少なかったということなんです。自分と同じ世代ですね。やっぱりせっかく買って頂いたのに、次につながらないのはもったいないし、純粋に悔しい。それが開発のきっかけです。「孫」はね、今もまだ開発途中です。今もまだ少しずつ変えています。
※編集部注:葛飾区や東京都主催など積極的に出店している
旭カレーの目指すもの。「ひと口目よりひと皿たべたあとの満足感」
こう、一皿食べた後にほっとするような「あぁ、なんかいいカレー食べたな」と思って頂けるものを目指しています。(うち以外の)外で食べるカレーはもっとスパイシーでパンチがきいていますよね。しかしその外のカレー、私は食べ終わる頃には飽きちゃうんです。それは(旭カレーが目指すものと)違うと思っています。辛いカレー、スパイシーなカレーを作るのは簡単なんです。辛み成分やスパイスを多く入れれば辛くできる。でも、うちは単に辛みやスパイスを足すことはしないし、保存料やエキスとかも使わない。極力、添加物を使わない。「元祖」や「セレクト」が年配の方に支持されているのは、食べやすいという部分が大きいと思うんです。

例えばカレーを食べた後の胸やけ。うちは銅釜に直火でルウを炊き上げています。銅はとても熱伝導率が高い金属で、その銅釜を使って調理をすることで、熱が原料を包みこむことが出来るんです。包みこんでから時間をかけてじっくり炊き上げる。だから原料すべてに火が通っているんです。
うちのカレールウは香りをかいてもらうと香ばしさが強いと思います。コーヒーが炒って香りを出すのと同じです。胸やけを起こす原因というのは炒れてない原料、特に主原料である小麦粉に火が通っていないと起こります。
うちのカレーにはそれがないのでカレーを敬遠する様になった年配の方にも食べて頂くことができるんです。他のカレールウだと出来ない事だと思います。
今後の食べて欲しい人と新商品
一般のご家庭に食べて頂きたいですね。うちのカレー自体は本当に素朴な味わいのカレーなので、お肉ゴロゴロもいいけれどアサリや出汁という和風に合うんです。元蕎麦屋ですしね。今後はそれをもっと知って頂きたいです。それから健康志向・食の安心安全を気にしている方にうちの商品はぴったり合うと思うんです。今は外国の方からもご注文がくるんですよ。

うちはルウをブロックではなくフレーク加工しているので、調味料としても簡単に使えますよ。以前タレントの方はバーベキューでお肉に付けて、スパイシーバーベキューとして食べていらっしゃいました。ですからカレーとしてだけでなく、そういった使い方もして頂けると300gなんてあっという間になくなってしまうと思います。
※編集部注:カレーおでん、パスタの作り方を掲載

今は販売会以外にも通販サイトからも色々なお声を頂いています。もっと少ない量の方がいいとか、新しいカレーのアイデアとか。まだ試作段階なので明かせませんが、2019年度に向けて色々進んでいますよ。でも、今は地元の高校の文化祭で出すコラボが先です(笑) 例年やっていて今年は「セレクト」を使った商品なんですが、技術的にかなり難しい。壁にぶつかっています(笑) ですが、高校生の熱い想いとカレー職人としてのプライドでこの壁はクリアしたい。クリアできたらその技術は次の商品に使えるものかもしれない。その際には ものラボさんにもお知らせしますね。
ワタナベ食品株式会社
渡邉 正道
ワタナベ食品は、東京は下町葛飾にある創業六十年カレールウ製造工場です。毎日手造り、直火焙煎で仕上げたコクと風味高い美味しいカレールウ"飲食店・皆様の食卓でより美味しいカレーを食べてもらいたい"一心で毎日取り組んでおります。
 東京都葛飾区立石4-15-3
 03-3691-0922
清水農園は江戸時代から続いている葛飾区南水元にある農家です。 主な栽培品は、ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリー、
農園業
ワタナベ食品は、東京は下町葛飾にある創業六十年カレールウ製造工場です。毎日手造り、直火焙煎で仕上げたコクと風味高い美味し
カレールウ製造